『資金繰り管理をするためにキャッシュフロー計算書を作成する』は正しいのか?
資金繰り表ではなくキャッシュフロー計算書で管理しようと考えてしまう背景と、そのメリット・限界を整理します。
      『資金繰り管理をするためにキャッシュフロー計算書を作成する』は正しいのか?
      
    
    
    
  
  企業経営者や経理担当者の中には、
「資金繰りを管理したいからキャッシュフロー計算書を作ればいいのでは?」
と考える方が少なくありません。
確かにキャッシュフロー計算書は「お金の流れ」を示す決算書類ですが、資金繰り管理の道具としては十分ではありません。
なぜこうした誤解が生まれるのか、そして実際に使える部分と限界を整理してみましょう。
なぜ「資金繰り=CF計算書」と誤解されるのか?
- 
    
「キャッシュ」という言葉が共通しているため
→ 「キャッシュフロー計算書」=お金の流れの全てを見れると誤解しやすい。 - 
    
金融機関の融資審査で重視されるから
→ 「銀行が見ている資料だから、自社の資金繰りにも役立つはず」と考えてしまう。 - 
    
損益計算書や貸借対照表より“お金に近い”印象があるから
→ 利益と現金が一致しないことを学んだとき、「やっぱりCF計算書が実務でも必要だ」と思ってしまう。 
キャッシュフロー計算書を資金繰り管理に使うメリット
- 現金主義で整理されているため、PLよりも資金感覚に近い
 - 投資や借入の影響を含め、会社全体のお金の動きを把握できる
 - 金融機関・株主への説明資料として信頼性が高い
 
特に「過去のお金の動きから今の資金状況を説明する」という目的には非常に有効です。
しかし、資金繰り管理には限界がある
- 過去データしか扱わない → 将来の資金ショートを予測できない
 - 月次決算が前提 → タイムラグがあり、日常の管理には遅い
 - 区分が大まかすぎる → 実際の支払日や入金日のズレを反映できない
 
つまり「資金繰り管理=将来の資金残高を見通すこと」には直結しません。
どう活用すべきか?
- キャッシュフロー計算書
→ 外部説明・財務戦略の全体像を掴む資料 - 資金繰り表
→ 内部管理・短期の資金繰り対策に使う実務ツール 
両者は代替ではなく補完関係にあります。
資金繰り管理をしたいなら「資金繰り表」をまず整備し、CF計算書は長期的な財務健全性を確認するために活用するのが正解です。
まとめ
- 「資金繰り管理=キャッシュフロー計算書」は誤解だが、そう思ってしまう理由はある
 - CF計算書は 外部説明・過去分析向け、資金繰り表は 内部管理・未来予測向け
 - 資金繰りを守りたいなら、まず資金繰り表を作成し、CF計算書は戦略面の補助資料として使う
 
💡 次回は「資金繰り表を最初に作るときのステップ」を解説予定です。
        
          
          This post is licensed under 
        
          CC BY 4.0
        
         by the author.