成功の裏で進む静かな行き詰まり ― 内部留保が社長を縛るとき
一世を風靡した会社ほど陥りやすい『内部留保の罠』。PLが縮み、BSだけが膨らむとき、社長個人に何が起きるのかを解説します。
成功の裏で進む静かな行き詰まり ― 内部留保が社長を縛るとき
はじめに
一世を風靡した商品。 急拡大する売上。 潤沢に積み上がる利益。
多くの社長が一度は夢見る「成功の形」です。
しかし、その成功体験から10年、20年が経ったとき、 その会社は必ずしも同じ景色に立っているとは限りません。
- 売上はピークアウト
- 利益は最低限
- それでも現預金は潤沢
この状態は、財務諸表上は安定して見えます。 ですが、社長個人の人生という視点で見ると、実は非常に苦しい局面に入っています。
PLは縮み、BSだけが残る会社
このタイプの会社に共通するのは、
- PL(損益計算書)は年商数十億 → 数億規模へ縮小
- 一方でBS(貸借対照表)は、
- 自己資本比率が高く
- 現預金が分厚い
というアンバランスさです。
会社としては「倒れにくい」。 しかし同時に、
成長もしないが、終わりにもならない会社
になっていきます。
内部留保は“社長の資産”ではない
多くの社長が、心のどこかでこう感じています。
「これだけ内部留保があるのだから、老後は安泰だ」
しかし、ここに大きな誤解があります。
- 内部留保は会社のもの
- 社長のものではない
社長個人の資産は、
- 給与
- 配当
- 株式
だけです。
そして、未上場企業の株式は、
- 売れない
- 分けられない
- 換金しにくい
という極めて扱いづらい資産です。
株価だけが上がっていく恐怖
内部留保が厚くなるほど、 自社株の評価額は上がります。
これは一見、良いことに思えます。
しかし社長にとっては、
換金できないのに、税金だけが重くなる資産
を抱え続けることを意味します。
特に、
- 将来、株を相続させたい
- 会社は存続させたい
と考えている社長ほど、 この矛盾に深く悩むことになります。
この段階で社長が選びがちな行動
多くの社長は、次のどれかを選びます。
- 何も決めずに現状維持する
- 配当を極力出さず、会社に現金を残す
- 新規事業に賭ける
どれも、気持ちとしては理解できます。
しかし共通しているのは、
株の出口問題を先送りしている
という点です。
次回予告
次回は、
「株を相続する」という選択が、なぜ現実的ではないのか
を、税金・実務・家族の視点から掘り下げます。
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