株を相続するという幻想 ― 事業承継で本当に怖いもの
未上場企業の株式相続で本当に問題になるのは税金ではない。社長の死後、家族と会社に何が起きるのかを現実ベースで解説します。
株を相続するという幻想 ― 事業承継で本当に怖いもの
相続税が怖い、は本質ではない
内部留保が厚い会社の社長が、 真っ先に心配するのは「相続税」です。
確かに、
- 株価評価が高い
- 相続税率も高い
となれば、税額は無視できません。
しかし、 本当の問題は税額そのものではありません。
本当の問題は「払えないこと」
未上場企業の株を相続した家族は、 次の状況に直面します。
- 株は手に入った
- しかし売れない
- 配当も不安定
- それでも相続税の支払期限は来る
つまり、
現金がないのに、現金で払えと言われる
状態です。
この流動性問題こそが、 相続最大の壁です。
「株を買ってくれる人」を探す現実
では、株を売ればいいのでしょうか。
理論上の買い手は、
- 後継者
- 同業他社
- 投資ファンド
ですが、実務は極めて重いものになります。
- 価格交渉
- 財務・法務デューデリジェンス
- 金融機関調整
- 株主総会・会社法対応
数年単位の消耗戦になることも珍しくありません。
廃業という、静かな選択肢
買い手が見つからず、 後継者もいない場合、 現実的な選択肢として浮上するのが「廃業」です。
廃業は失敗ではありません。
- 借金がない
- 現金が残っている
状態での廃業は、 経済的には合理的です。
しかし、
- 従業員
- 取引先
- 社長自身の人生
に与える心理的影響は非常に大きい。
なぜ社長は決断できないのか
社長が最も苦しむのは、
「どの選択も、完全な正解ではない」
という現実です。
だからこそ、 多くの社長は何も決めないまま時間を過ごします。
しかし、
決めないこと自体が、最悪の選択になる
ケースも多いのです。
次回予告
次回は、
敏腕後継者が現れ、業績がV字回復した場合
株の出口はどう変わるのかを解説します。
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