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セカンダリー取引とは何か?|未上場株セカンダリーが注目される背景

セカンダリー取引の基本的な定義から、近年注目されている未上場株のセカンダリー取引まで、プライマリー取引との違いや実務上の意味を整理して解説します。

セカンダリー取引とは何か?|未上場株セカンダリーが注目される背景

セカンダリー取引とは?

セカンダリー取引(Secondary Transaction)とは、
すでに発行された株式や債券などの金融商品を、投資家同士で売買する取引を指します。

伝統的には、

  • 上場株式の市場売買
  • 国債・社債の流通市場

といった取引が代表例でした。

しかし近年では、「未上場株の投資家間売買」を強調する文脈で、
あえて「セカンダリー取引」という言葉が使われるケースが増えています。


プライマリー取引との基本的な違い

まずは原点となる整理です。

区分 プライマリー取引 セカンダリー取引
取引相手 企業 ↔ 投資家 投資家 ↔ 投資家
対象 新規発行株・債券 既発行株・債券
資金の行き先 企業に入る 企業には入らない
IPO、増資、社債発行 株式売買、既存株主の売却

未上場株のセカンダリー取引であっても、
この構造自体は変わりません。


なぜ「未上場株セカンダリー」が注目されているのか?

① 上場までの期間が長期化している

近年、特にスタートアップ分野では、

  • IPOまで10年以上
  • 未上場のまま企業価値が数千億円規模

といったケースも珍しくありません。

この結果、

  • 初期投資家
  • 創業者
  • ストックオプションを持つ従業員

が、長期間キャッシュ化できないという課題が生じています。


② 流動性確保ニーズの高まり

そこで登場するのが、

  • 既存株主 → 新たな投資家
    への 未上場株セカンダリー取引 です。

これにより、

  • 早期投資家はリターンを一部確定
  • 創業者は個人資産の分散が可能
  • 従業員は報酬の現金化が可能

といった 流動性の確保 が実現します。


③ 投資家側のニーズ変化

投資家側から見ても、

  • IPO前の成長企業に投資したい
  • ただしプライマリーでの新規投資機会は限られる

という状況があり、
セカンダリーでの株式取得 が選択肢として浮上しています。


未上場株セカンダリー取引の特徴

上場株セカンダリーとの違い

観点 上場株 未上場株
取引市場 取引所 相対取引
価格 市場価格 個別交渉
流動性 高い 低い
情報開示 多い 限定的

未上場株セカンダリーは、
「市場」ではなく「個別取引」である点が最大の違いです。


価格はどう決まるのか?

未上場株の場合、

  • 直近の資金調達バリュエーション
  • 業績・KPI
  • 上場期待時期
  • 株主構成・譲渡制限

などを踏まえ、
当事者間の合意によって価格が決まります。

そのため、

  • プライマリー時の評価額より低い
  • いわゆる「ディスカウント」が入る

ケースも少なくありません。


企業側から見たセカンダリー取引の位置づけ

重要なのは、

セカンダリー取引=企業にとって無関係

ではない、という点です。

プラスの側面

  • 既存株主の流動性向上
  • 株主の新陳代謝
  • 上場前のガバナンス整備

一方で、

注意点も存在する

  • 株主構成が変わる
  • 望まない投資家が入る可能性
  • 将来のIPO・M&Aに影響

そのため、多くの企業では、

  • 譲渡承認条項
  • 取締役会承認
  • 取引条件の制限

などを設け、
セカンダリー取引を慎重にコントロールしています。


「セカンダリー取引」という言葉が持つ二重の意味

現在の実務では、

  1. 広義:上場株・債券を含む「流通市場での取引」
  2. 狭義:未上場株の投資家間売買

という 2つの意味で使われている 点には注意が必要です。

文脈によって、

  • どちらを指しているのか
  • 企業価値評価の前提が何か

を読み取ることが重要になります。


まとめ

  • セカンダリー取引は本来「発行後の投資家間売買」
  • 近年は特に「未上場株セカンダリー」を指す文脈で使われることが増えている
  • 流動性確保・投資機会拡大というメリットがある一方、注意点も多い
  • 言葉の使われ方が変化している点を理解することが重要

セカンダリー取引は、
資本市場の成熟とともに進化している概念と言えるでしょう。

This post is licensed under CC BY 4.0 by the author.