【経理】返金業務の自動化に挑戦してわかったこと―RPAでは解決できなかった本当の問題
通販会社で実際に行われていた返金業務の自動化に挑戦した事例をもとに、RPA導入時に発生した課題や、業務改善で本当に重要なポイントについて解説します。
はじめに
「この作業、毎回同じことをやっているのだから、自動化できるのでは?」
事務作業に携わっていると、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
私が以前勤務していた通販会社でも、返金対応業務の効率化を目的として、自動化に取り組んだことがありました。
しかし、実際に着手してみると、想像していたよりもはるかに難しく、多くの問題に直面しました。
そして最終的に気づいたのは、
業務改善で本当に難しいのは「作業を自動化すること」ではなく、「例外処理をどう設計するか」だということでした。
今回は、当時の経験をもとに、返金業務の自動化を検討した際に直面した課題と、そこから得た学びについて紹介します。
当時の返金業務
当時の通販会社では、
- クレジットカード決済
- 代金引換
- コンビニ払い(収納代行)
など複数の決済方法を採用していました。
そのため、商品不備などによって返金対応が必要になった場合、特に代引きやコンビニ払いのお客様については、銀行振込による返金を行っていました。
返金業務の流れは、おおむね次のようなものでした。
① テレオペ部署がお客様から口座情報を確認
- 氏名
- 住所
- 銀行名
- 支店名
- 口座番号
- 返金金額
などを確認。
② 返金対応リストをExcelで作成
同一返金日ごとに、返金対象者の情報をExcelへまとめます。
③ 経理部署へ返金依頼
チャットで、
- 返金日
- 件数
を連絡。
④ 経理部署が振込処理を実施
Excelをもとに振込データを作成し、承認後に返金。
⑤ 顧客向け返金明細書を郵送
返金明細書を作成し、
- 窓付き封筒
- 宛名用紙
- 押印
などを行って発送。
⑥ 完了報告
経理部署からテレオペ部署へ返金完了を連絡。
「単純作業だから自動化できる」と思っていた
当時、自動化の対象として特に負担になっていたのは、
- 振込データ作成
- 返金明細書作成
- 宛名用紙作成
の3つでした。
一見すると、
「Excelのデータを使って帳票を作るだけ」
のように見えます。
そのため、
「RPAを導入すれば簡単に自動化できるのでは?」
という期待がありました。
実際には想像以上に難しかった
しかし、実際に取り組んでみると、
- 全角・半角の違い
- 住所の表記ゆれ
- 長いマンション名
- 入力漏れ
- フォルダ名からの日付取得
- 想定外のデータ形式
など、次々と問題が発生しました。
さらに、
- フローを保守できる人がいない
- 外部ベンダーへ詳細を共有しにくい
- 結局人手で確認しなければ安心できない
といった運用面の課題もあり、思ったようには進みませんでした。
本当に難しいのは「例外処理」
振り返ってみると、
正常なデータを処理するだけなら、それほど難しくありません。
しかし実際の業務では、
- 空欄
- 表記ゆれ
- 想定外の入力
- 長すぎる住所
- 特殊な建物名
など、例外が必ず発生します。
つまり、
自動化の成否を左右するのは「正常処理」ではなく「異常処理」でした。
そして気づいたこと
当初はRPAによる自動化を目指していましたが、
後から振り返ると、
- データの整形
- 入力チェック
- エラーログ
- 要確認フラグ
などを組み込んだ「データ中心の設計」の方が、現場には適していました。
そこで重要なことに気づきました。
100%自動化することではなく、95〜99%を自動化し、残りだけ人間が確認すること。
今後の記事について
今回の記事では全体像を紹介しました。
詳細については、別の記事で順番に紹介していきます。
おわりに
業務改善というと、
「AIを使う」 「RPAを導入する」 「Pythonで自動化する」
といった技術面に注目が集まりがちです。
しかし実際には、
現場の業務をどこまで理解できているか
の方が、はるかに重要なのかもしれません。
今回の記事が、これから業務改善に取り組む方の参考になれば幸いです。