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アサヒグループはなぜこの順番で復旧したのか?~酒類・食品・飲料から見る「システム復旧の優先順位」~

アサヒグループのサイバー攻撃では、すべての商品・事業を一斉に復旧させるのではなく、商品供給を最優先に、酒類・食品・飲料などで段階的に復旧が進められました。なぜこの順番になったのでしょうか。年末商戦、商品の社会的重要性、売上規模などから、非常時に企業が行う「復旧優先順位」の考え方を読み解きます。

アサヒグループはなぜこの順番で復旧したのか?~酒類・食品・飲料から見る「システム復旧の優先順位」~

アサヒグループを襲ったサイバー攻撃では、国内グループ各社の受注・出荷業務が停止しました。

2025年9月29日に発生したシステム障害に対して、アサヒグループは商品供給を最優先業務と位置づけ、システムによる受注・出荷ができない状況の中でも、部分的に手作業へ切り替えて出荷を続けました。

その後、酒類、食品、飲料などで徐々に生産・出荷が再開されていきます。

ここで非常に興味深いのが、

「すべての商品を同時に復旧させる」のではなく、事業や商品によって復旧の優先順位がつけられていた

という点です。

一見すると、

売上の大きい商品から復旧させればいいのでは?

と思うかもしれません。

しかし、実際の企業経営はそれほど単純ではありません。

例えば、

  • 年末商戦が近づいている
  • 消費者の生活に欠かせない商品がある
  • 代替商品が少ない商品がある
  • 商品数が非常に多い
  • 商品が大きく重い
  • 物流上の制約が大きい
  • 出荷を止めることで取引先への影響が大きくなる

など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

つまり、サイバー攻撃からの復旧は、

「ITシステムをどの順番で直すか」という問題ではなく、「限られた経営資源をどの商品・事業へ配分するか」という経営判断

でもあるのです。

本記事では、アサヒグループの酒類・食品・飲料の復旧過程を比較しながら、どういう意図で復旧が進められたのかを考えてみます。


1. まず確認したい「復旧」の意味

最初に、今回の記事でいう「復旧」について整理しておきましょう。

今回のサイバー攻撃では、

  • システムの復旧
  • 生産の復旧
  • 受注の復旧
  • 出荷の復旧
  • 物流の正常化

が、すべて同じタイミングで起きたわけではありません。

ここは非常に重要です。

例えば、工場で商品を生産できるようになったとしても、

受注できない

出荷指示を出せない

物流が正常に動かない

のであれば、商品を消費者へ届けることはできません。

反対に、手作業で受注・出荷を続けることができれば、システムが完全復旧していなくても、一定の商品を市場へ供給することは可能です。

したがって、今回の「復旧」を考える際には、

「システムそのものが復旧した順番」ではなく、「商品供給がどのような順番で回復していったのか」

を見る必要があります。


2. 9月29日、国内の受注・出荷が止まった

2025年9月29日、アサヒグループでサイバー攻撃によるシステム障害が発生しました。

当初から大きな問題となったのが、国内グループ各社の受注・出荷業務です。

つまり、

取引先から注文を受ける

注文内容を処理する

商品を出荷する

という、メーカーにとって最も重要な業務の一つが止まりました。

アサヒグループはその後、ランサムウェアによる攻撃を受けたことを確認。

被害拡大を防ぐためにシステムの遮断措置を講じる一方、

「お客さまへの商品の供給を最優先業務」

と位置づけ、部分的に手作業で受注を行い、順次出荷を開始しました。

ここから見えてくるのは、今回の復旧作業において、

「システムを早く元に戻すこと」よりも「商品を市場へ届け続けること」が先に置かれた

ということです。

これは非常に重要なポイントです。


3. 「全部を復旧させる」ことはできない

ランサムウェアの攻撃を受けると、

  • 被害状況の確認
  • 原因の究明
  • 復旧方法の設計
  • システムの再構築
  • バックアップデータによるデータ復元
  • セキュリティの強化

など、通常業務への復旧は時間がかかります。

そこで、限られた人員、物流能力、工場の稼働能力などを使って、

「どの商品を先に市場へ戻すのか」

を決める必要があります。

これは、企業のBCPを考えるうえで非常に典型的な問題です。

アサヒの国内事業は大きく分けて3つあります。

  • アサヒスーパードライなどの酒類事業
  • カルピスなどの飲料事業
  • ミンティアなどの食品事業

これらの事業をどのように復旧させていったのでしょうか?


4. 最初に動いたのは「酒類」だった

今回の復旧を時系列で追うと、酒類事業の動きが非常に早かったことが分かります。

酒類事業は国内売上の約6割を占める、アサヒグループの国内事業における最大の事業です。

アサヒビールでは、10月2日から国内6工場すべてで生産が再開。

同時に「アサヒスーパードライ」の出荷が一部再開されました。

さらに10月15日からは、

  • アサヒ生ビール
  • スタイルフリー
  • クリアアサヒ
  • ドライゼロ
  • ブラックニッカクリア

などについても、順次一部出荷が再開されています。

ここで注目したいのが、

なぜ酒類が早期復旧の対象になったのか

という点です。

単純に「ビールが一番売れるから」と考えることもできます。

しかし、それだけではありません。


5. 酒類には「年末商戦」という時間的制約がある

酒類事業の復旧を考えるうえで非常に重要なのが、

9月末というタイミング

です。

ここで、アサヒスーパードライの2024年月別販売数量を見てみます。

アサヒスーパードライ月別販売数量

年末の12月と7~8月の夏季はビールの販売数量が大きくなっているのがわかります。

酒類にとって、年末は重要な商戦期です。

12月は忘年会やクリスマス、年末年始など、酒類の需要が高まりやすいイベントが集中します。

  • 飲食店
  • 居酒屋
  • ホテル
  • 宴会
  • 年末ギフト

など、さまざまな需要が発生します。

つまり、

9月末に酒類の供給能力を失うことは、その後の重要な商戦期を丸ごと失うリスクにつながる

のです。


6. 9~12月という「時間軸」を考えると復旧の意味が変わる

企業の業績を分析するとき、年間売上だけを見ていると、この問題が見えにくくなります。

例えば、

年間売上1,000億円

という商品があったとしても、

1月から12月まで毎月均等に売れているとは限りません。

12月に売上が集中する

商品が12月の販売機会を失うことは、単なる「1か月分の売上減少」ではありません。

その年の販売機会そのものを失う

可能性があります。

また、夏季の暑い時期に売れる種類は、1~3月の寒い時期は売上が伸び悩みます。

その意味では、

12月に間に合わなければ、復旧の効果が薄れてしまう

状況だったのです。

ここに、システム復旧の「時間軸」があります。


7. 「売上の大きさ」だけでは復旧順位は決まらない

酒類に続いて復旧が早かったのは食品です。

酒類は主力商品で売上ウェイトも高いビール類を先行して出荷作業の復旧に取り掛かりましたが、食品は事情が少し異なります。

食品事業は国内売上全体の1割程度にとどまります。

では、なぜアサヒは売上ウェイトの高い飲料の復旧を後回しにしたのでしょうか?

例えば酒類は、

年末商戦という販売機会の重要性

があります。

食品には、

生活に必要不可欠な商品や、代替が難しい商品が含まれる

という特徴があります。

一方、飲料には、

季節変動が大きく、商品数が多く、物流上の負荷が大きい

という側面があります。

つまり、

食品=社会的重要性

という他の事業とは違った特殊な要因がありました。


8. 食品は「売上の大きさ」ではなく「社会的重要性」が重要になる

食品事業には、

  • ミンティア
  • 1本満足バー
  • ディアナチュラ
  • アマノフーズ
  • 和光堂

など、さまざまなブランド・商品があります。

ここで特徴的なのが、

食品事業の中には、単純な菓子・嗜好品だけではなく、育児や高齢者の生活を支える商品も存在する

という点です。

特に和光堂は、育児用粉ミルクやベビーフードを扱っています

乳幼児向けの商品は、一般的な菓子や嗜好品とは性質が違います。

消費者からすれば、

「今日はこの商品が買えないから、別の商品を買おう」

と簡単に代替できるとは限りません。

そのため、非常時の復旧では、

「売上が大きいか」だけではなく、「供給を止めたときの社会的影響が大きいか」

という観点が重要になります。


9. 食品事業の中でも「優先順位」が存在した

さらに興味深いのは、食品事業の中でも一律に復旧したわけではないことです。

アサヒグループ食品では、システム障害後、和光堂の粉ミルクやベビーフードに続いて、ミンティアなどの供給回復が優先して進められました。

一方、食品事業の中でも主力商品である1本満足バーについては、システム障害直後の10月の販売数量は前年比5%まで減少しており、ほとんど出荷されていませんでした。

こうした点からも社会性を重視した復旧が進められていたことがうかがえます。


10. 一方、飲料はなぜ後回しになったのか

2025年12月の事業別の売上金額の前年比を見ると、

会社 売上金額前年比
アサヒビール 83%
アサヒ飲料 69%
アサヒグループ食品 106%

となっており、飲料の回復が遅れていることがわかります。

ここで、酒類や食品と比較すると、飲料事業を最後に復旧させたことには大きな意味があります。

それは、飲料は夏に販売数量が増加する一方、冬は販売数量が減少するためです。

これが、酒類との大きな違いです。

飲料事業は、商品によって程度の差はあるものの、夏季に需要が高まり、冬季に需要が落ち込みやすいという季節性があります。

そのため、9月末の障害発生時点では、酒類と比較して「年末商戦までに供給を回復させること」の緊急性が相対的に低かった可能性があります。

代替可能性という意味でも、「十六茶」「おいしい水」などの飲料は、消費者にとって他社の商品を選択する余地が比較的大きい商品と考えられます。

年間の売上では国内事業全体の3割になりますが、こうした点で優先順位は高くなかったのです。

これまで見てきたように、復旧における明確な優先順位を立てることが復旧初期の対応で重要です。


11. 「100%復旧」を待っていたら、企業はいつまでも動き出せない

ここに、企業のBCPを考えるうえで重要な考え方があります。

平常時なら、

「全商品を通常通り出荷できる状態」

が理想です。

しかし、非常時には、

「まず80%を戻す」

「次に90%を戻す」

「その後95%まで戻す」

「最後に100%を目指す」

という考え方が必要になります。

これはシステムそのものにも当てはまります。

例えば、重要なシステムが100個あったとして、

100個すべてを完全復旧するまで何もしない

というのでは、事業が長期間停止してしまいます。

そこで、

「企業活動を再開するために必要なシステムから復旧させる」

という考え方になります。

今回のアサヒグループの復旧過程も、この考え方で見ると非常に分かりやすくなります。


12. 実際、12月時点でも「主要商品まで復旧」であって「完全復旧」ではなかった

2025年12月時点の取り扱い可能品目を見ると、

会社 取り扱い可能品目数 売上構成比
アサヒビール 107品目 83%
アサヒ飲料 350品目 95%
アサヒグループ食品 944品目 98%

となっていました。

ここから非常に興味深いことが分かります。

「復旧」と「100%の通常状態」は別物だった

ということです。

例えばアサヒビールでは、

107品目 売上構成比83%

まで戻している。

ワインや焼酎といった主力以外の商品は12月に入っても売上前年比は50%程度でした。

つまり、商品数としてはまだ全体をカバーしていなくても、

売上への寄与が大きい商品を先に復旧させることで、事業の大部分を回復させている

わけです。

これは、非常時の復旧戦略として非常に重要な考え方です。


13. では、なぜ「酒類→食品→飲料」という順番になったのか?

ここまでの内容を整理してみましょう。

ここまでの復旧状況を、商品の供給状況や各事業の特性と照らし合わせてみると、「酒類→食品→飲料」という復旧順序には、いくつかの合理的な理由が見えてきます。

国内酒類消費量推移

酒類

→ 年末商戦という時間的制約
→ 大きな販売機会損失を防ぐ必要
→ 主力ブランドから供給を回復

食品

→ 粉ミルク・ベビーフードなど社会的重要性の高い商品
→ ミンティアなど主要ブランド
→ さらに多様な商品へ拡大

飲料

→ 冬季は売上が減少し、重要度が高くない → 主要商品ですら遅れて復旧

という違いが見えてきます。

つまり、

「酒類が重要、食品が重要、飲料は重要ではない」という単純な順位ではありません。

それぞれの事業について、

「何を先に戻すことが、最も大きな意味を持つのか?」

が違っていたのです。


14. 復旧優先順位は複雑な要素で決まる

今回のアサヒグループのケースを、もう少し一般化してみましょう。

企業がシステム障害に直面したとき、復旧の優先順位は、

売上だけでは決められません。

むしろ、

売上規模

×

社会的重要性

×

季節性

×

物流・生産の難易度

×

代替可能性

といった複数の要素を考える必要があります。

復旧順位を決めるということは「何を諦めるか」を決めることでもあります。

これは、平常時の損益計算だけでは見えない企業経営です。


15. システム復旧は「IT部門」だけでは決められない

ここで、今回の話を前回の記事につなげてみましょう。

前回の記事では、

「サイバー攻撃が止めたのはITではなく、企業活動だった」

という話をしました。

今回の記事では、その先にある問題を考えています。

それは、

「企業活動が止まったとき、何から復旧させるのか?」

という問題です。

これはIT部門だけでは判断できません。

例えば、

「このシステムは技術的には復旧できます」

という話だけでは不十分です。

経営側からすれば、

「そのシステムを復旧させると、どの商品を出荷できるのか?」

が重要だからです。

さらに、

「その商品は今の時期に必要なのか?」

「どれくらい売上に影響するのか?」

「社会的に重要なのか?」

「物流を動かせるのか?」

まで考えなければなりません。

つまり、

システム復旧の優先順位=事業復旧の優先順位

なのです。


16. そして「9月29日」という発生日が重要だった

今回の事件で、もう一つ見落としてはいけないのが、

サイバー攻撃が9月29日に発生したこと

です。

もし同じ障害が、

1月

に発生していたらどうでしょうか。

もちろん大きな問題にはなります。

しかし、9月末に発生したことで、

10月

11月

12月

という、年末商戦へ向かう重要な期間を直撃しました。

つまり、同じ「3か月間の障害」でも、

発生する時期によって企業へのダメージは全く違う

のです。

企業のBCPを考えるとき、

「何日間止まるのか?」

だけではなく、

「いつ止まるのか?」

も非常に重要になります。


17. 「受注・出荷復旧」と「販売回復」にはタイムラグがある

この点は、企業分析をするうえでも非常に重要です。

例えば、

受注・出荷が復旧した

というニュースが出たとしても、その翌日から売上が100%に戻るとは限りません。

なぜなら、

  • 取引先の在庫
  • 小売店の在庫
  • 流通在庫
  • 倉庫の在庫
  • 物流リードタイム
  • 手作業期間中の未処理データ

などが存在するからです。

つまり、

システム → 受注 → 出荷 → 物流 → 店頭 → 消費者

という流れには時間がかかります。

このため、

受注・出荷の復旧だけを見ても、企業の販売状況が完全に回復したかは分かりません。

サプライチェーン全体の機能が回復しているかを見る必要があります。


18. 最終的に「システムによる受注」は12月まで戻らなかった

そして、今回の復旧過程を象徴する数字があります。

アサヒグループ食品では2025年12月2日から、

アサヒビールとアサヒ飲料では12月3日から、

EOS(Electronic Ordering System:電子受発注システム)による受注が再開しました。

つまり、

9月29日に発生した障害から、システムによる受注の再開まで約2か月かかった

ということです。

この間、商品の供給は完全に停止していたわけではありません。

手作業による受注・出荷を続けていました。

結果として、物流業務全体が正常化したのも2026年2月に入ってからとなっており、長期間にわたりイレギュラー対応が続くことになりました。


19. アサヒグループの復旧から見えてくる「経営のリアル」

今回のアサヒグループのサイバー攻撃を分析していて面白いのは、

復旧作業そのものが、アサヒグループの事業構造を映し出している

ことです。

酒類では、

年末商戦を逃さないこと

が重要になる。

食品では、

生活に必要な商品を優先すること

が重要になる。

つまり、同じ「アサヒグループ」という会社でも、

事業によって復旧戦略が異なります。


20. 「復旧優先順位」は、企業の価値観そのものでもある

さらに考えてみると、

どの商品を先に復旧させるか

という判断は、その企業が何を重要視しているのかを表します。

例えば、

売上を最優先する企業

なら、売上金額の大きい商品から復旧するでしょう。

一方、

社会的インフラとしての役割を重視する企業

なら、利益率が低くても生活に欠かせない商品を優先するかもしれません。

さらに、

取引先との関係を重視する企業

なら、特定の小売店や取引先への供給を優先する可能性もあります。

実際の企業では、これらすべてを組み合わせて判断します。

だからこそ、

BCPは単なる危機管理マニュアルではなく、経営戦略そのもの

なのです。


21. アサヒグループの「復旧」は、実は3段階だった

今回の復旧を大きく整理すると、次の3段階に分けることができます。

第1段階:最低限の商品供給を再開する

システムが止まっていても、手作業で受注・出荷作業を代替することで、市場への供給を維持する。

第2段階:主要商品の供給量を正常化する

次に、

主要ブランド

売上寄与・社会性の大きい商品

その他の商品

へと出荷可能な品目を拡大する。

第3段階:システムによる通常業務へ戻す

そして最終的に、

EOSによる電子受発注

通常の物流

配送リードタイム正常化

へ戻していく。

実際、物流全体が正常化したのは2026年2月でした。

つまり、

「商品を届け始める」→「主要商品を戻す」→「通常業務へ戻す」

という3段階の復旧だったと考えることができます。

もちろん、商品供給が正常化したとしても、売上回復に向けた広告販促や情報セキュリティ費用の支出などにより100億円弱のコスト増を見込むほか、遅れている決算公表時期の正常化も含めて課題は山積みです。


22. 地震の復興も優先順位が明暗を分ける

これまで見てきた復旧の意思決定は、他のBCPでも応用できると言えます。

地震をはじめとした災害時の復興においてもサイバー攻撃同様、優先順位を明確にした経営方針の策定が重要です。

例えば、2016年4月に発生した熊本地震では、熊本はインフラが甚大な被害を受けた一方、大分はインフラ被害が大きくなかったものの、風評被害により観光客が激減しました。

その際、大分県は観光客を回復するためのプロモーション活動にも明確な優先順位を付けました。

①九州圏内の観光客

②国内観光客 ↓ ③アジア圏の観光客 ↓ ④そのほか遠方の海外客

プロモーションの優先順位を決める際は、

  • 国内客が増える夏休みシーズンの需要を喚起
  • 地震に対する免疫がある地域に対して情報発信を強化

といったように、メリハリをつけることで早期の観光客回復を実現しました。


まとめ:復旧順位は「売上順」ではなく「企業として守るべきものの順番」

アサヒグループのサイバー攻撃からの復旧を詳しく見ていくと、

「酒類→食品→飲料」という単純な復旧順位の話ではない

ことが分かります。

それぞれの事業には、それぞれ異なる「優先する理由」がありました。

酒類では、

年末商戦という時間的な制約。

食品では、

粉ミルクやベビーフードなど、供給を止めることによる社会的影響。

こうした要素を考えると、復旧順位は単純な売上順では説明できません。

ここに企業経営の面白さがあります。

サイバー攻撃が起きた瞬間、

「システムをどう直すか?」

というITの問題が、

「何を先に市場へ戻すのか?」

という経営の問題に変わったのです。

さらに、

「どの商品を先に復旧させるか」

を考えるためには、

  • 商品ごとの売上
  • 月別の売上季節性
  • 年末商戦
  • 消費者の生活
  • 社会的重要性
  • 物流負荷
  • 取引先への影響

まで理解する必要があります。

つまり、今回のサイバー攻撃は、

IT部門だけでは解決できない「企業経営そのものの危機」だった

と言えるでしょう。


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別の記事では、アサヒグループが受けたサイバー攻撃について、経営戦略や被害が大きくなった原因といった観点から解説しています。

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