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山梨県地震が富士観光に与える影響を分析~観光客は減ってしまうのか?~

山梨県東部・富士五湖を震源とする地震によって、富士観光地に最大震度6弱の地震が発生。山梨県の観光データを見ながら、日銀出身の産業調査マンが今後の観光業への影響を分析していきます。

山梨県地震が富士観光に与える影響を分析~観光客は減ってしまうのか?~

2026年6月26日に山梨県東部・富士五湖を震源とする最大震度6弱の地震が発生しました。

前日にも岩手県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、連日の地震報道に驚いた方も多いのではないでしょうか?

今回は、山梨県で発生した地震について、主要産業の観光業に与える影響を分析します。

富士山観光を襲った地震

今回の地震は、震源地が富士五胡に近い場所となっており、最大震度6弱ということで非常に大きな揺れとなりました。

揺れの大きかった富士五湖周辺は、

  • 富士急ハイランド
  • 河口湖
  • 山中湖

などの有名な観光地が集まったエリアです。

ホテルや旅館も多く立地しており、観光業が主要産業となっています。

山梨県観光マップと震源地

今回の地震により、観光客の減少が心配されますが、影響は大きくなりそうなのでしょうか?

富士五湖観光客の特徴と地震の影響に分けて分析していきます。

富士五湖観光がポイント

今回の分析においては、山梨県全体ではなく、「富士五湖周辺の観光に対するインパクト」に絞って分析していきます。

これは、以下の2点が理由です。

  • 山梨県全体の観光業におけるウェイトが高いこと
  • 震源地に近く、地震の影響が大きいこと

それでは、富士五湖の観光を紐解いていきます。

「東京から気軽に」がメインターゲット

山梨県全体の観光客は日帰りと宿泊が2:1くらいの割合になっています。

一方で、県内有数の観光地を抱える富士五湖周辺では、この割合が逆転し、日帰りと宿泊の割合が4:6程度になります。

日本人も外国人もおおむね傾向は一緒で、滞在期間の内訳を細かく見ると、観光客全体として、日帰りか1泊だけがほとんどです。外国人観光客だと1割程度は2日滞在する方もいるようです。

外国人の出身地を見ると、中国や台湾、東南アジアといった比較的近いアジア圏からの観光客が半数以上となっています。

また、訪れる日本人と外国人の割合は2:1程度で日本人の方が多くなっています。

日本人が観光に来る際のテンプレートが顕著に出ていて、観光客は7割程度は自家用車かレンタカーで来ていて、ほとんどが東京を中心とする関東圏からの観光客です。

つまり、富士五湖周辺の観光地の傾向を整理すると、

  • 関東圏から
  • 日帰りか1泊程度で
  • 気軽に行ける観光地

というイメージです。

観光消費額は宿泊客が圧倒的に大きい

気軽に行ける観光地である一方、富士五湖の観光は宿泊客の動向が今回の分析のポイントになります。

日帰り客よりも宿泊客が多いのはもちろん、観光消費単価を比べると、

  • 日帰り客…2,500円程度
  • 宿泊客…25,000円程度

といったように、10倍近い差があるのです。

これを踏まえると、

宿泊客が地震の影響によってどの程度減少するか

が経済への影響を左右します。

夏休みシーズンを直撃する可能性

年間を通して四季ごとに安定した観光客が訪れますが、日本人と外国人では、季節ごとに観光客の増減に特徴があります。

  • 日本人…夏休みシーズンに観光客が激増
  • 外国人…桜が見られる春、紅葉が見られる秋に増加

こうしてみると、今回の地震の影響は

夏休みシーズンに関東圏の観光客が例年通り来てくれるか

が観光業の方々にとって気になるところです。

地震による影響

今回の地震のポイントは以下の通りです。

  • 最大震度6弱の大きな地震
  • 地震の規模は大きいものの、鉄道や道路などのインフラ面への大きな被害はなし
  • 5年前にも同程度の地震が発生

これらを踏まえると、過去に地震を経験していることもあって、大きな混乱なく営業が再開できている状況です。

つまり、

実被害は大きくないので、風評被害さえなければ客足は戻る

ということが不幸中の幸いです。

実際に客足は戻るのか?

これらを踏まえて先行きの見通しを分析します。

まず、結論を先にお伝えすると、

風評被害が大きくないので、客足の戻りは早い

とみていいでしょう。

その要因について、2つポイントを絞ってお伝えします。

ポイント①滞在日数の少ない観光客が多い

夏休みシーズンは日本人観光客がメインです。

関東圏の観光客であれば、情報収集もしやすいので、実被害が少ないことがわかれば、大きくわざわざ予定を変更する可能性も低いでしょう。

富士五湖の観光客は滞在日数が少ないので、自家用車で来訪しようと考えていた観光客は、「最悪ぎりぎりになって予定を変更してもいいし」という心理的余裕があるのも今回はいい面として働きそうです。

ポイント②外国人観光客シーズンに直撃しなかった

日本人と外国人では、地震に対する免疫が大きく違います。

外国人観光客は傾向として、地震によって宿泊先に懸念があれば、「念のために旅行先を変更しよう」となってしまいます。

一方、今回地震が発生した時期は外国人観光客が比較的少ない時期です。

夏休みシーズンにしっかりと日本人観光客が訪れ、インフラなどの懸念をはじめとする風評被害が払しょくされることで、秋に向けた外国人観光客に安心感を与えることができるはずです。

これらを踏まえると、観光業への影響は大きくはならない見込みとなるでしょう。

官民一体となる適切な情報発信が大事

もちろん、地震によって短期的には客足が減る可能性があります。

これを早期に回復させ、通常運転に戻すには、官民ともに適切な情報発信を行うことが大切です。

実被害が大きくないことをしっかりと周知し、メディアが過度に被害状況をあおるような報道をしないことが先行きの経済回復にとって大事になります。

まとめ

今回は、富士河口湖町が公表している観光レポートをもとに分析を行いました。

データは令和5年時点のものが多いため、近年の円安傾向によるインバウンド客増加への影響には注意が必要です。

また、富士五湖での観光客の傾向が、たまたま「気軽に訪れるスポット」のため、地震の影響が大きくならないとみていますが、これがもし、湯布院などの「長期滞在型の観光地」であれば、影響はより大きくなるでしょう。

個人経営の宿泊施設では、シーズンごとに施策を打つのは難しいかもしれません。

しかし、資本力のある観光地施設では、こうした分析をもとに、「関東圏の客層に向けた旅行割」など、ターゲットを絞ったPRやイベントを企画していただければと思います。

この投稿は投稿者によって CC BY 4.0 の下でライセンスされています。