【ナポリの窯×ヒカル】コラボ!なぜホリエモンとヒカルのタッグが実現したのか!?太洋物産による企業買収をわかりやすく解説
ナポリの窯とYouTuberヒカル氏のコラボレーション。その裏側では、太洋物産による企業買収と株式交換という大きな経営戦略が進んでいました。IR資料をもとに、企業買収の仕組みを初心者にもわかりやすく解説します。
はじめに
2026年、宅配ピザチェーン「ナポリの窯」が、実業家・堀江貴文氏とYouTuberヒカル氏とのコラボレーションを発表し、大きな話題となりました。
「なぜナポリの窯が堀江氏やヒカル氏とコラボしているのだろう?」
そう思った方も多いのではないでしょうか。
実はその背景には、太洋物産株式会社による企業買収(M&A)があります。
本記事では、太洋物産が公表したIR資料や第三者算定書をもとに、
- ナポリの窯と太洋物産の関係
- 株式交換とは何か
- なぜ赤字企業でも買収されるのか
- 堀江氏とヒカル氏のコラボが実現した背景
をできるだけわかりやすく解説します。
まず結論
今回の流れを簡単にまとめると、上場企業である太洋物産という会社がナポリの窯の親会社を買収したことで、ナポリの窯は太洋物産グループの一員となりました。
ナポリの窯はブランド強化やマーケティング戦略の一環としてヒカル氏とコラボ商品を展開しています。
今回の買収に伴い、堀江貴文氏が太洋物産の社外取締役に就任したことで、
- 堀江氏…親会社の経営に参画
- ヒカル氏…子会社の経営に参画
という形で、著名な二人がピザ事業で協力していく形になりました。
ナポリの窯買収の経緯
太洋物産は今回の買収に伴い、堀江氏とヒカル氏という有名な二人と協力することになり、大きな話題となりました。
なぜ太洋物産はナポリの窯を買収したのか?
太洋物産はサイゼリヤなどの有名チェーンとも取引がある商社です。
今回の買収の狙いは次の3点です。
- 外食事業の参入による事業の多角化
- 上場企業の資金調達力を生かしたスピーディな出店や商品開発
- 商社の商品調達力とナポリの窯の店舗運営のシナジー発揮
太洋物産の業績は、ここ数年、年間の売上200億円に対して当期純利益が1~2億円程度となっており、利益率が低く、収益性に課題がありました。
今回の買収によって、新たな稼ぎ頭を作ることで、経営を安定させる狙いがあります。
実はナポリの窯も経営は苦しかった
ナポリの窯も太洋物産に買収されたい事情もあります。
ナポリの窯の運営会社であるストロベリーコーンズはここ数年、年間売上が30億円を超えているものの、毎年赤字が続いています。
赤字を打開するべく、ナポリの窯はヒカル氏とのコラボ商品「ヒカルピザ」等を開発し、売上拡大を目指しています。
一方で、今まで赤字続きだったので、新しく店舗を出店するのに十分な資金がありません。
このジレンマを解消したいナポリの窯は、コラボによって注目されたこのタイミングで一気に顧客を獲得するため、太洋物産と協力することになったのです。
堀江氏の店舗運営ノウハウに期待
太洋物産はナポリの窯を買収しましたが、店舗運営ノウハウが豊富なわけではありません。
そこで、社外取締役に堀江貴文氏を迎えることにしました。
堀江氏は、
- 巨大IT企業の上場実績
- 高級和牛レストランブランド『WAGYUMAFIA』の世界展開
- ベーカリーチェーン『小麦の奴隷』の急速なFC拡大
などの経験をナポリの窯の運営に生かすことを期待されています。
実は、ナポリの窯の親会社の社長は、別の事業で堀江氏と接点がありました。
今回の買収に伴い、堀江氏とナポリの窯とのシナジーが見込めると思い、声をかけたことで社外取締役としての就任が実現しました。
上場企業ならではの買収方法「株式交換」
株式交換による買収は「買収する会社(親会社)」が上場企業であるケースで圧倒的によく使われます。
太洋物産は何を買収したのか?
2026年4月24日、太洋物産は「ナポリの窯」の親会社である
株式会社いちごホールディングスを株式交換によって完全子会社化する
と発表しました。
現金で会社を買収したわけではありません。
現金の代わりに、
太洋物産の株式を対価として交付する「株式交換」という手法が採用されています。
株式交換とは?
通常の買収では、現金で会社を買収します。
しかし今回は、いちごホールディングス(ナポリの窯の親会社)の株式を太洋物産がもらう代わりに、太洋物産の株式の一部をいちごホールディングスの株主全員に配ることで、買収が実現しました。
これにより、太洋物産は買収のために借入等で現金を用意する必要はありませんでした。
ナポリの窯の株主は何を得たのか?
今回の株式交換では、いちごホールディングスの株式と交換するために、太洋物産は新しく株式を発行することになりました。
この新株は、いちごホールディングス(ナポリの窯の親会社)の株主へ交付されます。
いちごホールディングスの株主には、ヒカル氏が関与する株式会社ReZARDも含まれており、ReZARDの株主は間接的に上場会社の株式を取得しました。
つまり、
- 太洋物産は現金を支払わない
- 代わりに新株を発行する
- いちごHD株主は太洋物産株主になる
という構造です。
いちごHDの株主が持っていた株はすべて太洋物産の株になったのです。
上場企業が株式交換をよく使う理由
なぜ上場企業は企業買収で株式交換をよく使うのでしょうか?
それは、借入を行わずに実質的に買収資金を確保できる点に加え、
上場企業の株が
- 気軽に現金にできる
- 将来価値が上がるかもしれない
という特徴があるからです。
株主は、企業が得た利益からの一部を配当金として受け取る権利があります。
一方、赤字続きのナポリの窯のような会社では、株主は配当金を受け取れません。
この結果、株を持っててもお金は増えませんし、未上場企業の株を買ってくれる企業はなかなか見つかりません。
しかし、「うちなら黒字にできる!会社を売ってくれ!」という上場企業が株を買ってくれれば、株が一気に価値が生まれます。
ただし、ここで上場企業側にとって重要な問題があります。
企業買収のためとはいえ、大規模な借入を行って財務体質が悪化すると、いざという時に新たな借入ができないことがあるかもしれないのです。
そこで、借金を増やさず買収を行うために、新株を発行して株式を交換するのです。
また、株式交換によって株を受け取るときは、金額的に少しお得に株を交換してもらえるので、買収によって新株を受け取る側にもメリットがあります。
上場企業の株は気軽に売ることができるので、すぐに売れば割引分の利益を得ることもできますし、持ったままにして、いつか高値で売ることもできます。
株式交換はデメリットもある
もちろん、デメリットもあります。
株式交換をする際はたいてい、新しく株を発行します。
新株を発行すると、理論上、株主一人当たりの配当金が減ります。
また、経営陣を多数決で選ぶ場合などに重要な議決権も分散され、1株の重みが小さくなります。
このため上場企業は、新株発行による株式交換によって、
将来利益が増えるので、株主が増えても配当金は減りません!
というストーリーが株主に理解されないと、株価がどんどん下落してしまう可能性があるのです。
「純資産がマイナスでも、価値はあるの?」
今回の買収によって、太洋物産はナポリの窯を実質6億円で買収することになりました。
赤字続きで借金だらけの会社の価値が6億円もついたのです。
今回のIR資料で多くの投資家が注目したポイントがここです。
一般的には、
純資産がマイナス=価値がない
と思われがちですが、企業買収では必ずしもそうではありません。
企業買収では、
- 将来の売上
- 将来利益
- フリーキャッシュフロー
- ブランド価値
- 成長性
などを考慮するDCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)によって企業価値が評価されています。
つまり、
「現在赤字だから価値がない」
ではなく、
「将来利益を生み出せる会社なのか」
という視点で評価されているのです。
「ヒカルピザが将来たくさん売れるかも」と思われれば、企業価値が大きく算定されるということです。
投資家が注目したいポイント
今回の買収に際し、太洋物産のIR資料を見る際は、
- なぜ株式交換を採用したのか
- 新株発行による希薄化はどの程度か
- DCF法の計算は妥当か
- 買収後にどのようなシナジーを期待しているのか
といった点に注目すると、企業の狙いが見えてきます。
企業買収では、目先の利益だけでなく「将来どのような企業グループを目指しているのか」を読み解くことが重要です。
まとめ
今回の「ナポリの窯×ヒカル」コラボレーションは、単なる話題づくりではありません。
その背景には、
- 太洋物産による株式交換
- いちごホールディングスの完全子会社化
- ナポリの窯のグループ入り
- 堀江貴文氏の社外取締役就任
という一連の企業再編があります。
IR資料を読み解くことで、ニュースだけでは見えない企業戦略や経営者の狙いが理解できるようになります。
投資をする際には、株価だけを見るのではなく、その背景にあるM&Aや経営戦略にもぜひ注目してみてください。
※なお、今回の内容は一般の方がイメージしやすいよう、細かい説明を省略しています。買収についての正確な内容はIR資料をご確認ください。

